『初恋』 Written by Takumi


 印象的だったのは、大きな漆黒の瞳。
 長い綺麗な髪の毛。見慣れぬ褐色の肌。
 はじめて彼と会ったときは女の子かと思った。そのくらい、あの頃の彼は可愛かった。
 目の前に引き出され、真っ赤になった自分。
 握手一つ満足にできず、彼が微笑みかけてくる度に恥ずかしくてそっぽを向いた。
 同じ男だとわかっていながら。
 周りにどれほど可愛い女の子がいようと、あの頃は彼以上に胸をときめかせた相手を自分は知らない。
 好きだった。子供心に彼のことが。
 まだそれを禁忌と知らなかった自分の、無邪気な夢を思い出す。
 祝福を彩る鐘の音が聞こえた。人々の歓声。
 そしてその声に混じって彼の声が、自分を呼ぶ彼の声が聞こえた―――
「……うえ、兄上?」
 何度目かの呼びかけでふと我に返った。
 目の前には怪訝そうに首を傾げた弟、イレシオンがいる。
 昔ほどの女顔ではなくなったが、相変わらず美しい綺麗な顔に思わず目をすがめた。
 そういえば小さい頃はそんな彼と婚儀のまねごとをしたこともあったな。
 ふとそんな昔のことを思い出し、微かに口端で笑んだ。
「なにか楽しいことでもありましたか?」
 それをめざとく見つけたシオンが微笑みながら問いかける。
 そのサラサラの髪の毛に手をくぐらせ、頭ごと抱きしめた。
「兄上?」
 戸惑った声があがる。
 だがそれを無視して力を込めた。
「なんでもない……ただ、昔を思い出してただけだ」
 小さな頃。無邪気な自分。
 あの頃は本当に、お前を后に迎えようと心に誓っていた。
 いや、今でも叶うものなら―――。


ドリーマー・ドーン見参!(笑)
ちなみに『唯一の後悔』とは全く別物ですのであえて突っ込まないように(笑)
でもドーンって、切れたら本当にシオンをお嫁さんにしそうだよね……(笑)
「俺はこいつ以外、嫁にする気はない!」とか言ってさ(笑)当然シオンは胸を痛めるわけだ(笑)「兄上、おやめください」って涙ながらに(爆)
その間にもカデーレ侍女の迅速な情報網によって城下には『王子ご乱心』が報じられて(笑)
カデーレ、たぶん次期皇帝決めてる場合じゃないね(笑)
ああ、案外この混乱に乗じてミュカが皇位を継ぐってのもありか……ビバ*カデーレ!!(笑)

 


戻る