Thank you 100hit over!
This counter getter is "hujinomiya"

『酒は飲んでも飲まれるな』 Written by Takumi  


 バタン―――。
 扉が閉まり、連合側のエースが去った小部屋は再び静けさを帯びた。
 微かに聞こえる足音に耳を傾けながら、ロタールは背後を振り返る。
「怒ってますか?」
 微かにたたえた笑み。まるで悪いと思っていない様子に、ゲーリングはチッと舌打ちする。
 奴は知っていた。
 自分がこの笑みに弱いということを。
 彼の兄、リヒトホーフェンによく似た笑みを前にして、自分が反対の意をとれないことを。
 それが癪でもあり、またそれを相手に悟られた自分が滑稽でもある。
「別に」
 浮かびそうになる自嘲の笑みを隠すように、グラスに注がれたワインをあおった。
 喉を潤すそれはすぐさま胃に流し込まれ、微かな痛みを身体に伝える。
「っつ………」
「飲み過ぎですよ」
 横から伸びた手に、スッとグラスを奪われる。よせ、とその腕を止めようとした手が、なぜか奴の手首を握る。
「……ぁ………」
 微かにあがった声。それを無視して、口づけた。
 久しぶりに味わう唇の感触。
 端正な顔に似合わず、微かに荒れたソレを舌先でじっくりと舐め沿った。ふと唇を離す。
「気にいらん」
「……なにがです?兄が彼を逃がしたことですか?それなら……」
 過去に何度かやりましたが、と続く言葉を遮るように、再び口づける。
 今度は先ほどよりももっと深く、舌を絡めるディープなキスを丹念にじっくりと。
 ん、とあがる鼻に掛かった声音に身体が熱くなるのを覚えながら、再び唇を離した。
「あ……」
 不満そうな顔のロタールが目の前。唾液で赤い唇が魅力的だった。それをあえて無視して言葉を続ける。
「お前があのイギリス野郎に宣戦布告したことが、だ」
「……なぜです?飛行機乗りなら相手への宣戦布告はごく当たり前のものですが?」
 首を傾げるロタール。
 わかって言っているのか、はたまた本気か。
 どちらともとれるその態度に、カッとなった。そうなると、性格上止めることができない。
 しまった、と思ったときには既に言葉が飛び出していた。
「俺以外の男を見るなと言ってるんだッ!」
 ダンッ、とテーブルを力任せに殴る。その拍子に机上のワインボトルが床に落ち、盛大な音をたてて割れた。途端部屋中にワイン独特のアルコールを含んだ臭いが充満する。
 その音で、はっと我に返ったときには時既に遅し。
 満面に嬉しそうな笑みを浮かべたロタールが、微かに頬を染めこちらを見ていた。
「いや、その……」
 思わず言い訳めいた台詞が出そうになるところを、伸びてきた腕が腰に絡まることで止められる。
「そういうことだったんですか」
 可笑しくてたまらないという声で、数センチの間をあけて向かい合うロタールがチュッと触れるだけのキスをしてきた。
「ヘルマン……」
 赤い唇が、そっと愛しげに名前を呼ぶ。普段は呼び慣れないファーストネーム。
 それだけで、妙に意識しそうになる自分がいる。
 そして癪なことに、そんな自分の胸中を目の前の男は確実に悟っているのだ。
「私があなた以外の男性に目を向けるはずがないでしょう?」
 クスクスと耳元で囁かれる言葉に、微かに頬が赤く染まるのを感じながら、ふい、とそっぽを向いた。だがすぐさま伸びてきた手によって正面を向かされる。
「昨夜、あれほど愛してると言ったのに。信じてもらえなかったんですか?」
 そんなに年下は頼りない?と聞いてくる声。
 身長差はそれほどないはずなのに、なぜか上目遣いで尋ねられると昨夜の情事の思い出も相まって、腰が疼いた。
「そういうわけじゃ……ない……」
 かすれた声で、正面のロタールにそう告げる。
 だがそんな自分を楽しむように、再び、今度はこめかみにキスをすると、
「まいったな……欲しくなってしまいましたよ」
 ぐいっと腰を掴んでいた腕に力を入れ、互いの下半身を密着させた。
「あっ………」
「ほらね。あなたがそんなに可愛いから、もうこんなに堅い」
 いやらしく囁きながら、耳を甘噛みすると同時にグリグリとソコを擦り合わせた。
 既にカチカチに固まったそこは、着実にゲーリングの下半身を刺激する。
「やめ……ここをどこだと………」
 上がりそうになる息を必至で堪え、それだけを伝える。
 捕虜を収容する部屋はいくらあっても足りない。既に順番待ちの捕虜が列をなしている。
 となると、実際にロードを閉じこめていたこの部屋はすぐさま次の捕虜が放り込められるはずだ。
 そんな危惧が頭を取り巻いて離れないのに、一方で身体は素直に反応してしまう自分が嫌だった。堪えるように、唇を噛みしめる。
 それを認め、ロタールは喉奥で微かに笑った。
「ダメですよ……唇が切れてしまいます」
 舌先で真一文字に引き結ばれた恋人の唇をゆっくりとなぞる。
 やがて唾液でてらついたそれを満足げに見つめると、必至に目を閉じてこの事態を耐え抜こうとしているゲーリングの身体を軽く叩いた。
「大丈夫。元々空き部屋ですから。心配しなくても次の捕虜が来ることもありませんよ」
 だが言う傍らで、ゆっくりとその手がボタンに掛かった。同時に腰を抱いていた腕がじわじわと下にずれ、やがて届いた双丘を軽く揉みしだいた。
「それに、誰かが来ると思った方があなたも感じるでしょう?」
「なに言って……くっ……」
「ほら……もう立ってられない?」
 どうしてこんなに可愛いんでしょうね、と笑いながらもちゃっかりとボタンをはずす手は休むことなく動き、いつの間にかシャツ一枚となってしまったゲーリングの胸板に愛しげに頬を寄せた。
「名前を呼んでください」
 その心音に耳を立てながら、そっと囁く。
 だがなにも言葉を返さないゲーリングに、苦笑がちにその顔を見上げた。
「あなただって悪いんですよ。元はと言えば、ロードに興味を持ったのはあなたが先なんですから」
「バカ……奴はそういう対照じゃ…ぅ……」
「わかってます。でも、私は嫉妬深いんですから気をつけてくださらないと」
「ロタール!」
 クスクスと笑い、布の上から乳首を甘噛みしたところでギッと睨まれる。
 だが快楽で微かに潤んだ瞳は色っぽい以外のなにものでもない。
「ダメですよ、ヘルマン」
 苦笑を浮かべ、愛しい恋人の顔を掌で包む。
「もう止まらない」
 言い終わると同時に、むさぼるようなキスをした。
 その合間に苦しげな声が上がるのも無視して、ただひたすら甘い口腔内を犯す。
 ふと鼻をかすめるのは床に散ったワインの匂い。
 舌で感じる、恋人の口腔に残るワインの味。
 その両方に刺激されながら、ロタールは好都合だと内心笑みを浮かべた。
 今日はきっと「酔った」という口実でなんでもさせてくれる。
 そして明日になれば「忘れた」の台詞ひとつでゲーリングはおそらくなにも言ってこないだろう。
 この恥ずかしがり屋の恋人は、その手の話題を極力嫌う。
 いくら文句を言いたくても、情事の内容を忘れた相手にいちいちなにがあったのかを説明するほどバカでもない。
 だから―――
「今夜はたっぷり、愛してあげますよ」
 まずは手はじめに、彼をテーブルに押し倒すことから始めてみよう。


100hit記念のロタール×ゲーリング(爆)
当然初めて書くカップリングです。でも狙いはたしかに付けてました(爆死)
切り番ゲッター・藤の宮とシンクロ……嫌すぎ(笑)
しかし……はじめは三人称、次がゲーリング一人称、最後がロタール一人称と非常に不安定な文章であることに何人が気づくだろう(爆)
ちなみにロタールの心境は俺の心境でもある(爆笑)
くぅぅ〜〜、ゲーリング可愛いぜ!!(>0<)
そしてこれから怒濤の切り番連続申請がはじまる……それまで持つのか、俺(-_-;)
そして無事できあがるのか、図学のレポート(爆死)

 

戻る