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『真夜中デート』 Written by Takumi
「見ろよ」
傍らに並んだピロシキがおかしそうに道ばたを指さした。
珍しい夜の散歩は頭上に瞬く月光だけが頼り。
誘ってきたのはピロシキからだった。
暇だから散歩にでもいかねー?と、くったくのない笑顔で言われて嬉しくないと言えば嘘になる。
とはいえ、散歩と書いてデートと読むのは自分の妄想だけではないはずだと固く信じながら、パードレは言われるままにひょいと指さされた方向に首を伸ばした。
そしてギョッとする。
「なんだ、あれは」
「若いっていいよな〜」
声を押し殺して笑うピロシキを振り返り、ムッとした様子で言う。
「そういう意味ではない」
なんと道ばたの草むらで、若い男女とおぼしき2人が熱い口づけを交わしているのだ。
こんなところでする彼らも彼らだが、なぜか立場上こちらが覗き見をしてるような気になるのは仕方がない。
そもそも、こんなシーンを見つけて嬉しそうにするピロシキの神経がわからなかった。
「まったく、なにを考えてるんだ」
「なんで?好きなら当然の行為だろ?」
「他人の迷惑を考えなくなるようだったら別れてしまった方がましだ」
「冷たいね〜」
ケラケラと笑うピロシキは足下の小石を蹴飛ばした。
それからふと頭上を見上げる。つられてパードレも夜空を眺めた。
変わらぬ歩調で歩くピロシキがわずかに肩を震わせたのがわかった。
3月とはいえ、夜になればまだ冬並の寒さだ。
「………ぁ……」
「いいから。着ておけ」
脱いだ上着をそっと、ピロシキの肩に掛けた。驚いたようにこちらを見つめるピロシキを、照れたように顔を上げたままパードレが言葉を続ける。
「明日、出るんだろ。風邪を引かれては元も子もないからな」
その耳に、小さな声で「サンキュー」と感謝の言葉が届いた。次いで「じゃあ」と言うと同時に手を繋がれた。
「…………おい?」
不信げな眼差しを向けると、はにかんだような笑みが返ってくる。
「だってお前の手、すげー冷たいじゃん」
俺って手だけはいつもあったかいんだよな、と笑うピロシキをしばし見つめ、それから繋がった手のひらを見つめる。
じんわりと伝わるぬくもりが愛しい。
わずかに力を込めた。
「…………まったく、これじゃあさっきの連中のことを偉そうに言えないな」
「なんで?俺達別に誰にも迷惑かけてないだろ」
呟きを耳ざとく聞きとめ、ピロシキはにやり、と笑んだ。次いで繋いだ手をグイッと引っ張り、相手が身体を屈めた拍子に耳元に唇を近づけ囁いた。
「迷惑かけられるのはお前だけだし」
「…………ピ、ピロシキ!」
言い終わると同時に耳を甘噛みされ、思わず赤面して噛まれた耳を覆った。
そんな自分を見てケタケタと笑うピロシキ。
恋人の、こういうところが苦手だった。無邪気すぎて、その行為がどれほどの効果を持っているのかわかっていないところが。
「ごめん。怒った?」
押し黙っていたパードレを怒ったと思ったのか、ピロシキが一変して心配げな眼差しで見上げてくる。
そんな彼をしばらく見つめ、パードレはぶっきらぼうに言った。
「………キスしてくれたら許す」
言った途端、目の前の顔から笑みがこぼれる。
首に回される腕。背伸びのため、いつもより近づいた顔。寒さでやや乾いた唇。
それら全てが愛しくて。
抱きしめる腕に力を込め、パードレは静かにキスを待つ。
近づく吐息を感じながら、やや顔を傾け愛しい恋人の口づけを待つ。
星空の元、誰よりも愛に溢れた2人がいた。
ラブラブな2人ということでしたが、いかがでしょう?
俺的にはもう砂吐きそうなくらいラブラブだと思うんですが……(笑)
でもやはりなんというか……パードレってむっつりスケベっぽい(爆笑)
長さ的にはちょっと短いかもしれないけど、そのぶん内容は濃いかもしれない……俺にしては珍しく純情だし(笑)
まぁ、これでも物足りない人はどうぞ本日UP予定の「卒業〜天バカバージョン〜」でも読んで満足してください(笑)
さて、問題は越後屋がこれを見てどう思うかだが……(^-^;
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