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『共犯者の夜』 Written by Takumi
キーボードを叩く音だけがしていた。
無機質な、一定のリズムを保つ微かな音。
遠くでパチッと聞き慣れない音がしたのを機に、ディスプレイに向けていた視線を上げると廊下の明かりが消されたところだった。
驚いて手近にあった時計に目をやると、既に時計は残業と言うにはあまりに遅い時刻を指している。
「マックス」
僅かに身体をずらし、部屋で唯一残っている部下を捜して声をかけた。
ほどなくして、腕に資料を山のように抱えたマックスが隣室から顔をのぞかせる。
「なにか」
「今日はこのへんで止めだ。すまんな、時間に気づかなかった」
「いえ、大丈夫です」
抑揚のない声で答えるマックスが腕の中の資料だけでも整理しようとするのを認め、ヴィクトールの瞳の奥に一瞬妖しい光が宿った。
言外に自分の帰りを待つ者はいないと告げる先ほどの台詞に、同類に対する想いが広がる。
「閣下?」
突然背後から抱きすくめたヴィクトールに、マックスは怪訝そうな声を上げる。
そんな彼から器用に腕の資料を奪い取り、その耳近くで女性をとろけさせる甘い声音で囁いた。
「残業手当が出るがどうする」
「残業手当、ですか?」
言ってる意味がわからないのか、考える素振りを見せるマックスにグッと腰を押しつけた。
「………閣下」
「どうする」
再び同じ質問を繰り返す。戸惑い隠せないマックスの微かな震えが伝わってきた。
だがそれを無視して、前に滑らせた手で器用にボタンを一つ一つはずしていく。身じろぐマックスに、それを許さないというように左腕を腰に巻き付けた。グッと力を込めることで密着度を高め、自分のソレを押しつける。
「……ぁ………」
ワイシャツ越しに摘んだ乳首を親指の腹で軽く愛撫する。
それだけで、たまらず喘ぎ声の出るマックスをおかしそうに眺めた。腰に回した腕をゆっくりと線をなぞるように下肢へと移動させ、自分同様に張りつめさせたソコをやんわりと撫でさする。
「か、閣下………」
目元を赤く染めるマックスがたまらず俯きかけるのを、強引に顎をとらえて口づけた。
「んっ……」
苦しげなうめき声をよそに、深く舌を絡める。
久々に味わう彼の唇を思う存分感じながら、ふとここ数日の多忙な日々のことを思い返していた。
ブラックブラッドなる集団の、突発的なテロ行為。
今日の残業も、元はと言えばその首謀者を割り出すつもりだったのだが。普通のテロ集団にしては手の込んだ、薄いベールを何度も重ねたような不明瞭な実体に何度も舌打ちしかけた。
身体はひどく疲れている。
そして身体が疲れると、次に来るのは決まって性欲だった。
この疲れを射精感で晴らしたいという想いがわき上がる。
「どうした?もう欲しいのか?」
じわじわと焦らすように上と下を責め立てる。声を殺そうと腹筋をピクピクと震わせるマックスを認め、口元に意地悪な笑みが浮かんだ。
「…………やっ……やめてくださいッ!」
ソコに舌を忍ばせたところで、慌ててマックスが身体をよじる。
彼がここを舐められるのが嫌いだということを承知で、だが逃げられないように腰をしっかりと掴んで丹念に舐めほぐす。
「ふ…う………」
机に腕を突っぱねた状態で羞恥に耳まで赤くするマックスをちらりと上目遣いで認め、満足げな笑みを刻む。
愛撫の反応がこれほど楽しいのはマックスぐらいだ。
そうでもなければ、ローションなりジェルなりで即座に突っ込めば事は済む。
だがそうしないのは、羞恥心で赤く染まり、殺した声がたまらず漏れてしまうことで更に感度が高まり、最期には自分から求めてくるマックスを見るのがこの上もなく愛しいからで。
いくら抱いても慣れないその仕草が、毎回処女を抱くような高揚感すら与えてくれる。
「変態だな」
ボソリと呟いたところですでに赤く熟れたそこがたまらず縮小していることを認め、再び濃い笑みを浮かべた。
いつの間にか荒い息を吐くマックスは、僅かに着乱れた軍服で更に色気を増している。
そっと前に手を這わせてみれば、可哀想なぐらいに濡れたソコがビクッと敏感すぎるほどに震え上がった。
「んっ………」
本人は無意識なのか。
聞いてるこっちの気分を高めるには十分すぎるほどの熱い吐息が漏れた。
「いいか?」
いい加減こちらにも限度というものがある。
ヴィクトールが同意を求める囁きをしたところで、だがマックスは涙で潤んだ瞳を向け、相変わらずの天然ぶりを発揮した。
「なに、が………」
その台詞に思わず苦笑を浮かべたヴィクトールだが、構わずそんな彼を机に押し倒す。
「この状態で次にどうするか、わからないわけではあるまい」
向き合ったマックスの目尻に軽いキスを落とし、膝までずり落ちたズボンを多少荒っぽく脱がした。
「割り増しだ」
グイッと大きくその足を広げさせ、膝頭にキスをしてから珍しくヴィクトールが笑みを浮かべてマックスを見つめる。
だがその意味を理解する前に、マックスはたまらず叫んだ。
その叫びが痛さだけでないことを、ヴィクトールもまた知っていた。
情報部における残業手当。
それはマックスにだけ許された、特別な手当だった。
「泊まっていけ」
自宅へと送り届けたヴィクトールが、ドアを開けたマックスにそう言ったのは半ば予想ができたことだった。
たしかにあれから何度も抱き合い、身体は限界を達している。
本当なら今すぐにでも眠りにつきたいのだが。
「お気持ちだけで結構です」
このまま彼の屋敷に泊まるとなると、安眠は得られそうにない。
珍しく頭の働いたマックスが出した答えに、ヴィクトールはフッと笑みを浮かべ右腕を伸ばしてきた。
「…………ッ」
ビクッと過剰なまでに反応したマックスに、ヴィクトールがおかしそうに目を細める。
「ネクタイが曲がってるぞ」
「あ………」
早合点した自分を恥じ、慌ててネクタイに手を伸ばしたマックスのその腕をヴィクトールが掴む。
「そう警戒するな。心配しなくても、今夜はもう手はださん」
「ですが………」
「泊まっていけ」
有無を言わさぬ口調。だがそれがイヤなわけではない。
やがて小さく頷いたマックスに、ヴィクトールが肩を抱き寄せる。
軽いキスを交わせば、先ほどの言葉が嘘であることなど、マックスでも理解できた。
だがあえてそれを拒否しない。
承諾した時点で、自分も既に共犯者であることを知っているから―――。
苦手なんだよ、このカップリング(爆)←開口一番にそれか(-_-;)
読むのは大好きだが、自分で書くとなると……マックスが喋らないしヴィクトールもロクな台詞を吐きやがらねぇ(爆死)
ということで、このカップリングは宮に任せたつもりだったのに。
しかしなんだね、過去に2回切り番をゲットしてるのに、そのリクエストが2つとも裏用ってのはどういうことだ?(笑)<陸さん
正体ばれまくりだぞ(笑)
とはいえ、久々のエロは……なんていうか、書き方がわかんね〜(爆)
ふふ……その昔は大王とまで呼ばれた俺だが(爆)もうそろそろ引退を考えねばいけないようだよ(笑)
今回の小説、少しでも興奮してくれれば幸いm(_ _)m←おい
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