Thank you April Fool's Day!
Have a Good Time!
『四月バカの日』 Written by Takumi
ガチャ………
後ろ手に扉を閉められた。次いでカチャリと鍵を掛けられる。
ごくり、と息を飲む。伸ばされた手が強引に俺の腕を掴んだ。じっとりと汗ばんだ掌。
奴も緊張してるんだ、と妙なところで感心した。
「………どうすんだよ…」
こんなとこで、とひっそり問いかける。そうでもしないと外に声が漏れそうで。この雰囲気をぶち壊してしまいそうで。
「いいから」
目の前の男がグイッと掴んだ腕に力を込めた。強引にベッドに押し倒される。ギシッと安物のスプリングがきしんだ。
奴の息づかいがすぐ横で聞こえる。微かに耳を刺激して、くすぐったくて目を瞑った。
「抱かせろ」
「………イヤだって言ったら」
「………………」
ロードが押し黙る。珍しい。いつもなら問答無用で、それこそ猿ぐつわを噛ませてでも抱こうとするのに。
そんな彼がおかしくて、小さく笑った。
目の前の唇にチュッと吸い付く。
「うそ」
優しくしろよ、とほんの少し高ぶった身体を押しつけて囁いた。捕まれた腕がそっと離れたのを認めて目の前の男の首に絡ませる。
漆黒の瞳が自分を見据えていた。
しばらく見つめ合って、まるで惹かれ合うように顔を寄せ合う。
しっとりと伝わる体温、呼吸、鼓動。
思い出した。
今日はエイプリルフールだ―――。
「あっ……ん………」
後ろを濡れた指で探られて、たまらず声をあげた。自分で舐めた指がそこを探るのは、何度やっても慣れない。嫌悪感というにはもどかしい、妙な感覚が押し寄せる。
「ここ、か」
微かに笑ったロードがゆっくりと指をかき回す。その動き1つ1つを頭の中で想像し、よけいに身体は高ぶった。前が痛いぐらいに張りつめる。
「は…ぁ………」
四つん這いにされた格好で、ロードの指1本でよがる自分はすごくみっともない。わかってるのに、見た目通り細やかに動く奴の指は確実に快楽を探し出すから出したくない声も、流したくない涙も溢れ出る。
「んっ……!」
開いた股の間から腕を突っ込まれ、高ぶった自身を握られた。恥ずかしいぐらいに濡れたそこを、ロードの左手が包み込む。
「こっちも、やって欲しいだろ」
笑いを含んだ声が背後から聞こえる。同時にグッと指を最奥までつき入れられた。
一瞬の苦痛は、だがすぐにたまらない快楽に取り変わる。何度も何度も出し入れを繰り返され、その度に微妙な指使いで感じやすいところを刺激されて。
「……やぁ……っ」
堪えきれない喘ぎ声が漏れた。じわじわと迫ってきた快感が限界に達してきているのがわかる。熱にうなされるように激しく腰を振る。物足りない何かを求めるように。
そんな自分を面白がるように、前をなだめる指の動きも激しさを増した。前後に動く腕が、内腿を微かにこする。前と後ろと、それから内腿を甘い刺激が襲った。
こんな抱き方、珍しい。
普段ならもっと焦らして、たっぷり泣かせて、卑わいな言葉を吐かせるのに。
「………もぅ……んっ…」
「限界か」
「……あたり、まえ……お前がこんな…するから………」
「好きなくせに」
フッと笑う息が腰にかかった。それだけでビクビクッと身体が恥ずかしいまでに震える。
こんな身体にされたのはここに来てからだった。
初飛行、大失敗をした俺に殴りかからんばかりの勢いで怒鳴りあげたロード。実際はしっかり殴られたし、足蹴にもされたから散々と言えば散々だ。
だがそれだけでは終わらなかった。
バーからの帰り、自室に向かう廊下でロードに呼び止められた。話がある、と。
また説教か、とうんざりして彼を大人しく自室に招き入れ、だがドアを閉めたところで問答無用で抱かれた。
二度とバカなことをするな、と何度も囁かれ。何度もイカされ。酔った身体は抵抗することすらできず、それどころかしっかり感じてる自分がいた。
それ以来ズルズルと関係は続いてる。今みたいにこっそり待ち合わせてヤッたり。早朝の便所で立たされたまま後ろから突かれたり。
それこそ変態みたいな事を色々と。
「………イ…っく…!」
グイッと最奥の感じやすいところを指の腹で押さえされたのを機に、たまらず果てた。
奴の手の中に思いきり精液を吐き出す。ロードの手の中に。
それがとても悪いことのようで、だがだからこそ禁忌を犯しているような錯覚に陥り、握られた自身を包む奴の手に自分の手を重ねた。
「…もっと、触って………」
肩口に涙目で訴える。驚いたようなロードの顔があった。
だがその顔もすぐいつものふてぶてしい仏頂面に戻り、口端だけをクイッとあげる。
「珍しく積極的だな」
そんな目で誘うな、と引き抜いた右指で器用にシャツのボタンを外す。
露わになった逞しい身体にゾクッと肌が粟立った。はくはくと呼吸不足のように唇がわななく。
「はや、く………」
高々と腰を上げて誘った。いつもの自分なら恥ずかしさで死んでしまいたくなるような痴態。だが今日だけはどうしてもロードが欲しくて。
「……好きにして、いいから………」
自身の精液にまみれた彼の指に自分のそれを絡めて、濡れた指を舌で舐め取った。
ごくり、とロードの喉仏が上下するのを見てゆっくりと笑む。過去色っぽいと評された顔だ。
「その言葉、忘れるなよ」
掠れた奴の声に頷けば、腰にぶつかった彼の高ぶりがすぐ。
自分同様堅くなったそれが、ギュッと押さえつけられた状態でじわじわと目的の位置に下がってくる。そのもどかしさに手近のシーツが皺になるほど握りしめた。
ソコはもうすっかり濡れて。俺の精液と奴の精液が嫌らしいぐらいに混ざってるんだろう。だから……
「……も、焦らすなよ………」
苦しげに喘いだ。指で慣らされた箇所がとろりと熟して、指よりもっと奥を突いてくれるモノを待ち望んでるから。もっとお前と混ざり合いたいから。
「……プリー……ズ…」
いつもよりずっと優しい抱き方。まるで似合わない愛撫。
でも今日はエイプリルフールだから。
いつも嘘をつき合ってるような関係の俺達は、今日ぐらいは素直になろう。
欲しいときは欲しいと。愛してるなら愛してると。
全てを口にしてしまおう。
明日になれば忘れるから。全てを夢で済ませるから。
今日だけは―――
「愛してる」
挿入寸前に耳元で囁かれた言葉はなんだったのか。
考えるよりも先に押し寄せた快楽が、そんな思考を全てさらっていった。
バカといえば『天翔けるバカ』……なんて言ってる場合じゃないです(爆)
でも祭りに乗じて普段やってはいけないことをするってのも一興じゃないですか?(笑)
個人的には作中でリックに−ロード、やっぱキャメルに乗ってるだけにラクダ並み……−とか言わせたかったんですが(爆笑)
なにはともあれ、久々のエロと言えるエロです。
裏のリクエスト作品に物足りなさを感じてる人にはちょうど良かったのでは……まだダメ?(笑)
ひとまず俺の精一杯はもうこのレベルってことです。
大王の肩書きもそろそろ返上ですね(笑)
では、少しでも楽しんでいただければ幸いですm(_ _)m
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