『貴方の薫り』 Written by Takumi
車のエンジンを止め、急ぎ足で屋敷の玄関へと向かった。
「閣下は?」
出迎えた顔見知りの執事にせわしく問うと、浴室です、と落ち着いた声で返される。
「失礼するよ。急ぎの用なんだ」
一応の断りを入れ、エーリヒは足早に通い慣れたアフォルター邸を浴室めがけてすすむ。
こんな夜分に、と申し訳ない気分でいっぱいだった。
ただでさえ多忙な日々を送っているのに、家庭に帰られてからも政務に追われるとは。
だが今夜だけはそれも仕方がない。
まさかこんなことが報じられるとは―――。
アフォルター家の浴室は広い。
脱衣所だけでも優にダンスを踊れる広さだ。そして肝心の湯殿は極上の大理石でゆったりとした空間が作られている。
前総帥ハインツの趣味なのか、アフォルター家の浴室のすごさはBB内でも有名な話だ。
そして今、この磨りガラスの向こうには………。
「閣下、夜分申し訳ありません。エーリヒです」
声がうわずらないよう、喉元を押さえながら磨りガラスに透ける肌色に向かって言葉をかけた。
シャワーを浴びていたのだろう、磨りガラス越しにも華奢だとわかる身体がくっと背中をひねったのが見えた。
「エーリヒ?……どうしたんだい、こんな時間に」
やや響いて聞こえる声は、だがいつも以上の艶でエーリヒを刺激する。
ごくっと唾を飲み、エーリヒは胸元から一枚の新聞の切り抜きを取り出した。
「実は………」
「あっ、ちょっと待ってなさい。ついでにもう出てしまうから」
話はそれから聞くよ、というとユージィンはさっそくシャワーを止め、ドアノブをひねった。湯気と共に出てきた彼は、一糸まとわぬ姿。
「………………ッ!」
思わずエーリヒはくるっと反転してそんな彼に背を向ける。心臓が早鐘を打つ。
だがそんなエーリヒを知ってか知らずか、ユージィンは気にする様子もなくそのままエーリヒに近づくと、
「それで、なにか問題でも起こったのかい?」
背後からひょいっと顔を覗かせてあどけなく問う。
ふわりとシャンプーの匂いがエーリヒの鼻をくすぐったが、それ以上に熱っぽいユージィンの吐息にますますエーリヒは頬を赤らめた。
「かっ……閣下!」
「なんだい?」
「なにか着られてください!」
その言葉に、ようやくエーリヒの赤面に気づいたユージィンはクスッと笑うと、
「やだな……親子同然の関係で今更私の裸に恥じ入らなくてもいいだろう?」
これみよがしに身体をすり寄せ、エーリヒの腕に唇を押しつけた。
そして彼の身体がこわばるのを楽しむ姿は、悪趣味以外の何物でもない。
だがその深緑の瞳に妖艶な光りを灯らせ、
「でもおかしいね。私達は普通の親子なのに、お前のここはもうこんなに元気になってる」
スッと手のひらをエーリヒの股間に持っていく。
ギクッとばかりに身体を震わせたエーリヒが戸惑いを隠せない声で、
「閣下…あの、なにを」
「脱衣所までくるなんて……そこまでして私がほしかったのかい?」
「そうではありません!私は………ッ!」
「いいから。なにが先決か、頭のいいお前ならわかるだろう?」
「ですが………あっ……つぅ!」
反対の言葉は、ユージィンによる巧みな下半身への愛撫で中断された。
いつの間にかジッパーを下げ、そこからエーリヒの高ぶりを取りだしたユージィンが裸身のまま床に跪き奉仕する。
まさか、という思いで混乱する頭は快楽しか感じられない。
「んっ……閣下…は……んぅ……!」
いとおしげに舌で舐められ、添えられた手のひらでやんわりとさすられる。
そのすべてを、尊敬するユージィンにしてもらっているという罪悪感も伴って、いつも以上に感じてしまうエーリヒだ。
「ひっ……そこ…だめ、です…」
ひときわ強く、先端を吸われた。
ゾクッと背筋を走ったのは、おそらく快感だろう。
「…………………ッ!」
息をつく間もなく、一気に果てた。
精子の数が激減したこの身体でも、やはり放たれるのは皆と同じ白濁した液。
そのすべてをユージィンの喉奥に飲み込まれ、陶酔感に目をつむる。
その手に握られたのは、くしゃくしゃになった新聞の切り取り。
日付が明日になっているそれに、大きく書かれた文字が皺の寄った紙面で微かに読めた。
『アフォルター総帥、夜の御乱交は副官と!』
だがそれに2人が気づくのは、もうしばらくあとのこと。
息の整ったエーリヒが、ユージィンを静かに床へと押し倒す。
ゆっくりと開かれるユージィンの両足。
喘ぎ声は、静かに浴室に響きわたった。
ユージィン、セクハラをするの巻(笑)
しかしこの作品はほとんど内容が頭に残ってなかったよ…あるってことは覚えてたけどさ。
たしか某氏宛のFAXで書いたショートで、そのあとどうせならって同盟に献上したんですね。
ツッコミ所満載で…そもそもBB中に噂になるぐらいすげー浴室作ってんなよ!とか(笑)<故ハインツ氏
東スポin火星って感じの記事はどうだろうね!?とか(笑)
でもエーリヒの精子云々のくだりは、今読むとなかなか良いところに目をつけたんじゃないかと思うんですが(笑)
頑張れ、パパ!
というわけで、多少物足りなさを感じる人もいるとは思いますが(笑)
また次回UPの作品に期待してください(笑)
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