『教師の責任:レッスン2』 Written by Takumi
小さな声が聞こえた。
その声に、目を擦りながらベッドから上半身を起こす。
サイドテーブルに置いたメガネを掛け、足音を立てないよう静かにドアに近づいた。
「どちら様です?」
耳とそば立て、誰何の声をあげる。するとドンッと乱暴に扉が外から蹴飛ばされた。
「僕だ。開けろ」
尊大な声。こんな夜中に他人をたたき起こしたことにまったく後ろめたさを感じていないそれに、つい苦笑が漏れた。
だがこれ以上彼を外に待たせておくとロクなことにならない。
お待ちください、と声を掛けすぐさま錠をはずし廊下の待ち人を部屋に招き入れた。
「どうしたというんです?こんな夜中に」
肩をすくめて見せた自分に、主人ミューカレウスはキョロキョロと室内を興味深げに見回すだけで一向に答えようとしない。
「ミューカレウス様」
今一度名前を呼ぶ。
すると寝間着姿の彼は一瞬眉根を寄せ、それから腕を組んだかと思うとキッと私を睨み付けてきた。
「ロイ、お前は僕の教師だな」
そしてその桜色の愛らしい唇が不似合いなほど不機嫌な声で問いかける。
その質問の真意をわかりかね、はて、とばかりに首を傾げた。
「ええ、正しくは数理学のですけれど。それがなにか?」
冗談じゃない。
こんな夜中にたたき起こして今更職務質問なんて、一体この皇子は何を考えているのだろう?
思わず眉をひそめそうになるのを、なんとか笑顔で誤魔化したが、それすらこの皇子はお気に召さなかったらしい。
そうじゃない、とばかりに地団駄を踏むとグイッと私の胸ぐらを掴んできた。
「ならどうして……責任を取るんじゃなかったのか!?」
吐き捨てるように言う。最後の言葉はそっぽを向いたまま。
だが耳の赤みは隠しようもなくそれを認め、ははぁ、とばかりに私は笑みを濃くした。
なるほど、そういうことか。
胸ぐらを掴み続ける彼の掌をそっと包みこみ、その甲にチュッとキスをする。
「なっ……!」
「忘れてなどいませんよ、ご安心を」
「でもっ………んぅ…!」
更に言い募ろうとする唇を強引に塞いだ。
彼が虐められるのが好きだとわかったのは前回のレッスンでだった。
言葉で、行動で虐めれば虐めるほど感度が良くなる。
そうなると元々サドッ気のある自分には好都合の相手だった。
「や……ロイ………」
唇を離すと、それを嫌がるように首の後ろに腕が回ってきた。
もっと、とせがんでくる唇を舌で舐めてやりながらその身体を抱き上げベッドへと連れていく。
ギシッとスプリングがきしんだ。
身体の下に組み伏せた彼がゆっくりと自ら寝間着のボタンを一つずつ外しだす。
その手を包み込み、止めた。
どうして、と怪訝そうな緑褐色の瞳が自分を見上げる。それに昼間の自分からは想像もできないようなエロチックな笑みを浮かべ、その耳に囁いた。
「脱がすのは私の役割だと、前回教えたはずですが?」
「…ぁ…………」
その声音に感じたのか、ビクリと小さな身体が震えた。
ついでとばかりに耳朶を甘噛みすると、密着した相手の下半身の微妙な変化に気づいた。
意地悪げな笑みが唇に浮かぶ。
「いやらしい子だ。もうこんなにして……私がほしいんですか?」
「…ちが……んっ……」
「どうして?今夜だってレッスンの続きがしてほしくて来たんでしょう?気づいてましたよ、昼間あなたがどんな物欲しそうな目で私を見つめていたか」
「あれは…僕はただ……ひっ…!」
認めようとしない彼に、お仕置きだとばかりにその猛った下半身を寝間着の上からギュッと握りしめた。
「どうしてほしいんです?言ってくれないとわかりませんよ?」
苦痛で顔を歪めた彼を見下ろし、更に握ったそれを扱きだした。
「あっ……んぅ、や…やだっ……」
腰が大きく跳ねた。
だがそれを巧いこと身体で押さえつけ、再びその耳元で囁く。
「どうしてほしい?答えて、ミューカレウス」
閉じた瞼。その長いまつげが震えているのを認めこめかみに唇を落とす。
すると……
「いい子ですね」
にやり、と笑みが浮かんだ。
恥ずかしげに顔を背けたミューカレウス。だがその両足がしっかりと自分の腰に巻き付いてきたのが何よりの答え。
「では、今夜はレッスン2を……」
彼のボタンを口に含みながら、こもった声でそう告げた。
外れたボタンの向こうに見えた肌は、少年独特の青さを持っていることを自分は知っている。
今夜もその味を堪能できるのかと思うと、自然笑みが浮かんでくるのだった。
「ロイ…も……」
「まだですよ、いいからもっと手を動かして」
互いの荒い呼吸と濡れた声が暗闇に響く。
キングサイズのベッドの上、壮年の自分の股ぐらに顔を埋める少年の亜麻色の髪の毛。
それに指を差し入れ、柔らかな感触を楽しむ。
その一方で、下半身に与えられるぎこちない奉仕にじれったさを伴う快感を引き起こされつつあった。
「亀頭に親指を押し当てて上下に…そう、お上手ですよ……くっ…」
「ロイ……ロイも感じてるのか?」
「ええ…ぅ……感じてますよ…皇子が触ってくださるから…いつも以上にね」
珍しい私の喘ぎに自分も感じているのか、目元を赤らめたミュカが潤んだ瞳で見上げてきた。
その頬をやんわりと指先で撫でてやり、では、と次の課題を提示する。
「指での奉仕はもう結構です。次は舌でやってもらいましょうか」
「舌って……この舌?」
ベロと赤い小さな舌を覗かせたミュカに、ええ、と微笑んでやり、
「その舌で、私のを舐めるんですよ」
子供には酷だと思える口での奉仕を強制した。
それにはさすがのミュカも躊躇したのか、一瞬顔が強ばった。それをめざとく認めた私は意地悪げな笑みを浮かべる。
「無理に、とは言いませんよ。ですができなければレッスンはこれで終わりです」
「え………」
「あなた次第ですよ、続けるも続けないも」
悲しげな表情が少年に浮かんだ。
だがすぐさまそれが意を決したものに変わる。キュッと引き結ばれた唇がゆっくりと舌で湿らされると、上半身をかがめ、頭が再び股間へと近づいていった。
「んっ…………」
大きなそれを、小さな唇が一杯に広げて迎え入れる。
赤い舌がぎこちなく動き出す。
チロチロとまるで焦らしているような感触に、溜まらず目をつむった。
「っつ………」
思わずあげた声に、びくり、と目だけを上げるミュカに大丈夫だ、とばかりに笑んでその髪を撫でてやる。
それだけで安心したように再び行為に集中する幼い皇子。
やがて先端だけを含み、その割れ目に沿うように舌を動かしながら根本に這わせた指を動かすという方法を教えると、それに忠実に従う様子が素直すぎて。
生暖かい感触に包まれた自身が倍のサイズになるのがわかった。
「ぐ……ぅ…ん………」
口にほおばったミュカが目に涙を溜め必死に舌を這わせる様子がなんとも愛しくて。
亜麻色の髪を撫でながら、すでに先端からトロトロと涙を流す彼の小さく猛ったモノに気づき、じんわりと握りしごいてやった。
「あっ…ん、ロイ…ロイ……ッ」
その刺激に耐えきれず、唇を離して嬌声をあげる少年に優しく微笑んだ。
「愛してますよ、ミューカレウス」
「ロイ、ね…やだ……1人でイクのは…いやだ……」
震える唇が最後のおねだりを告げる。
可愛いミューカレウス。
こんなあなたを知っているのは私だけですよね?
満足感に満たされながら、では、とばかりにレッスン1の復習だとお互いに互いのモノを握りしめ合った。
「これで」
「んっ…あぁ……」
激しく頷くミューカレウスは既に絶頂に近い。
精液にまみれた掌が、更に互いを扱きやすい状況を作り出した。
にちゃにちゃと粘液質独特の音が次第に早まる。同時にどちらのものとも判別つかぬ荒い呼吸が切羽詰まったソレになった。
「やっ……イ、ロイ、ロイッ…あっ…んぅ……!」
「…………くっ!」
声にならない叫びがあがる。
フッと力の抜けた少年の身体がベッドに倒れ込んだ。見れば気を失っている。
「おやおや」
さすがに気絶をするとは思ってもみなかった。
とはいえ、それほど気持ちよかったということは相手もまんざらではなかったようだ。
汗で額に張り付いた髪の毛を払ってやりながら、その寝顔を見つめ微かに笑む。
「できの良い生徒で嬉しいですよ」
そして額に褒美のキスを与えた。
レッスン2も無事終了。
この調子だとトントン拍子にレッスンは終わってしまいそうな勢いだ。
「ふむ……応用編も付け加えますか」
天井をしばらくぼんやりと眺めたあと、思いついた考えに満足げに目尻を下げる。
どうやら教師という肩書きは当分辞められそうにないな。
次のレッスンを夢見て、自分はクスクスと肩を震わすのだった。
ついにレッスン2まで進んでしまったロイ×ミュカ!!
実を言うと、今後の展開としては1:基本 2:奉仕 3:慣らし 4:結合 5:応用編と考えていたらしい(爆)<書いてた当時は
なに考えてんだ、そのときの俺(-_-;)
ちなみに現在書いてるのはこのレッスン2まで。
無事レッスン5まで書き上げたら、某氏からロイ&ミュカのイラストをもらえると約束までこぎつけたというのに(笑)
あれからさっぱり書く気が起きやしね〜。
やはり元来ロリショタ撲滅委員会に所属している身だからだろうか……ヽ(´ー`)ノ
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